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退職代行から感じる悲しさ

退職代行から感じる悲しさ

人を雇い入れる陰には誰かの退職あり、は言い過ぎかもしれませんが、人事にかかわる仕事をしている方の多くは、採用活動の傍らで多くの退職場面に立ち会ってきたことと思います。

直属の上司に退職意向を伝え、退職願を提出、残務整理や引継ぎを終えて、退職日を迎える。
このような自己都合退職の一般的な流れに、ルール無視の画期的なシステムとして登場したのが「退職代行サービス」です。

人材紹介を利用して採用した営業職社員が退職代行を使って突然退職した、数年間受け入れていた派遣社員を直雇用にしたところ転籍日に退職代行を利用して辞めたなど、弊社が知るだけでも複数の事例があり、思っている以上に利用が広がっていると感じます。
そこで今回は、このように労働者間や企業間ではすっかり市民権を得たように感じる「退職代行サービス」をテーマにお伝えしたいと思います。

昨日まで普通だったよね?どうして急にそんなことに…

「社員の○○さんのことで、弁護士を名乗る方からお電話が…」
人事を任されている方は、こんな取次ぎを受けたことはないでしょうか。弊社ではあります。

該当社員の所在を確認すると、今日は欠勤しているとのこと。困惑しながら弁護士かららしい電話を受けてみると、社員の退職意向と今後当の社員と直接のやり取りは控えるよう伝えられるのです。これがいわゆる退職代行による退職手続きの始まりになります。

聞いてみると、お取引させていただいている多くの企業様で同様の経験があるようです。
退職代行を利用して、退職を申し入れてくる社員の多くは入社から3年以下。社歴5~6年を超えていた人が退職代行サービスを利用して辞めたという話はあまり聞きません。

変わりなく出勤退職代行を利用して辞めていく社員に共通していることは、その大半が前日まで何も変わりなく就業していたということです。本人の中では色々なことに思いを巡らせ、心身への変調もあったのかもしれません。ですが、周囲からは普通に働いていて、普通にコミュニケーションをとっているように見えたと聞きます。そのため、弊社の場合もそうですが、会社側からすると、正に青天の霹靂、困惑しかないというのが正直なところなのです。

退職代行の使いどころ

退職代行というサービスを耳にするようになったのは2010年台の後半、5年くらい前からではないかと思います。報道番組の特集コーナーなどで取り上げられ、段々と知名度が上がっていった印象です。

私自身、初めて退職代行という存在を知った時、所謂ブラック企業のような退職のハードルが高い会社を辞めるのに良いサービスだなと感じました。実際、サービス開始当初はそういった企業からの退職を主としたものだったのではないかと思います。

しかし現在では、ブラック企業とは言いづらい普通の企業からの退職でも、退職代行が利用されるようになりました。退職が困難な企業が存在する限り、退職代行というサービスは必要だと思います。ですが、話の通じる企業を辞める時まで退職代行を利用するのは、個人的には悲しいことです。

退職代行退職代行に申し込めば、何かの解約申し込みのように会社を辞められる。そこからは、その会社での自身の仕事や、仕事上関わってきた相手とのつながりは何も残っていないのだなと感じます。色々考えた末での退職代行の利用なのだとは思いますが、本人にとっても、会社にとっても、納得感のない退職になるのではないでしょうか。

話が通じる上司、話が通じる会社でありたい

2021年に、日本労働調査組合が20~49歳の会社員を対象に行なったアンケートによると、回答者の57.4%が退職代行サービスを知っており、47.4%が現職を退職するときに退職代行の利用を検討する、と回答しています。

労働環境改善に対する取り組みが進んだことで、ブラック企業と呼ばれるような企業は減り、また、多くの企業では退職に対する引き留めも弱まってきていると個人的には感じます。しかし、これだけの割合の人が退職時に退職代行の利用を検討すると答えているのを見ると、退職意志が固まっていても、実際に退職するハードルは思っている以上に高いのかもしれません。

退職代行の利用が広がったことで、就業規則に退職代行の利用に関する規定を設けた企業様もあると聞きます。弊社でも人材を企業様に送り出す際は、退職代行を使うことは控え、事前に相談するように伝えています。

相談するもしかしたら、このような行為も雇う側と雇われる側の心の溝に繋がっているのかもしれません。ですが、どのような事情があるにせよ、入社した縁、一緒に働いた縁というものは確かにあるはずです。せめて退職代行を使わずとも退職意志を直接伝えてもらえるような、できれば退職意志を固める前に相談してもらえるような関係性を社員とは持っていたい、そのために社員ひとりひとりに少しでも寄り添った対応ができるようになりたいと思う日々です。

from フミちゃん

フミちゃん プロフィール
西田GMゼネラルマネージャーの西田二三代です。業界30年以上の知見から、企業の人事担当者様に離職率の低減、面接の印象を良くするなどの役立つ情報をブログという形でお伝えします。

・1000社以上の企業にスタッフを紹介
・人材業界で30年以上のキャリア
・マネージャーとして事業部を統括
・面接したスタッフは延べ10,000人以上
・年齢:30歳プラス少々

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