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オフィスコンシェルジェのひとりごと

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派遣費用の高騰から考えるスキルと対価

派遣費用の高騰から考えるスキルと対価

この1年で派遣社員の時給が急激に上がっていることをご存知でしょうか。
派遣社員を受け入れられている企業様でも実感されているかもしれませんが、特に若い世代の派遣料金が高騰しています。
派遣料金の高騰が進む中で、スキルと対価についてよく考えるようになりました。
というのも、本来、派遣社員の時給は、そのスキルに応じて決めるべきものです。
しかし、最近は、その連動がなくなっており、派遣社員が持つスキルとは関係ないところで料金がつり上がっているように感じます。
そして、そのような環境で働くことが当たり前になっている若い派遣社員たちの将来に対しても、私は不安を感じてしまいます。
そこで今回は「派遣社員」をテーマに、スキルと対価について私が考えていることをお伝えしたいと思います。

Excel・Word初心者の若手派遣社員の時給

最近の派遣社員の時給はいくらくらいだと思いますか。
例えば、20代でExcel・Wordが入力と四則演算にSUM関数くらいはできるという初級レベル。
感覚的にどのくらいの時給を想像されたでしょうか。1400円~1500円くらいを想像される方が多いのではないかと思います。実際、1~2年前であればそのくらいの時給が相場でした。
それが最近では、1800円~1900円になっているのです。
時給が400円上がると、8時間勤務を月20日行う場合、月給が6万円以上上がることになります。世間的に給与が上昇傾向にあるとはいえ、正社員の月給はそんなに上がっていないでしょう。
派遣費用の高騰から考えるスキルと対価この結果、正社員の月給よりも派遣社員の月給の方が高くなるという逆転現象が起こっているのです。
ある企業様では、正社員の方が「サポート業務しかしていない派遣社員の方が、給与が多いのはおかしい」と言って退職してしまったと聞きました。
正社員の給与は、給与テーブルや他の社員との兼ね合いがあり、そのような訴えがあったとしても、柔軟に変えられるものではない、ということもわかります。

 

派遣の月給と正社員の月給の逆転現象

派遣社員の時給が上がるということは、企業様への請求額も上がるということです。それだけの額を出すのであれば、正社員を採用する方が良いのではないかとも思います。
ですが、多くの企業様にとって、社内バランスを考えると、最近の派遣社員が手にするような給与を若い正社員に提示することは簡単ではないでしょう。
若い世代の確保が難しくなっている昨今、派遣社員から正社員になってもらおう、そのために若手の派遣社員を入れようと考える企業様も多いと思います。政府も長く勤める派遣社員を正規雇用にするよう後押しを強めています。
しかし、この若手派遣社員の時給が高騰している状況では、派遣社員からの正社員化は簡単ではありません。
高い時給が当たり前になっている派遣社員にとって、正規雇用の給与は見劣りしてしまうことが多いからです。手にする給与が多ければ、それに伴って生活水準を上げてしまうことも考えられます。
そうなると、一度上げた生活レベルを下げることは難しく、その生活レベルを維持できない給与には満足できないでしょう。実際、過去に、正規雇用につながるものの給与が下がる企業様を紹介した若手の派遣社員がいました。
派遣費用の高騰から考えるスキルと対価派遣開始前の面談の際に、以前の派遣先よりも時給が下がる旨を伝え、本人も了承して就業を開始しました。それでも、結局、給与に合わせて生活水準を下げられず、辞めてしまう結果となりました。

 

スキルと対価のバランス

本来、スキルと対価は労働市場を形成する基本的な要素のひとつです。
若手派遣社員の時給の高騰は、このバランスが崩れていることに他なりません。
企業様にとっても難しい問題だと思いますし、高い時給に翻弄される若い労働者も心配になります。
どうすれば健全な雇用環境につながるのか、という問いには簡単に答えられそうにはありません。少子高齢化が進む社会では、若い労働力の希少性がますます上がることも考えられます。そうなると、若手派遣社員の時給はますます上がってしまうようにも思えます。
しかし、働くということは、自身のスキルを通して会社や社会に価値を提供することです。
「若い世代」というような年齢構成に重きを置いて人員を求めるのではなく、自社に本当に必要なスキルを見極めて、そのスキルを求めることを重視する局面に差し掛かっているのかもしれません。
企業様にも、就労先を求める若い派遣社員にも、市場の変動に左右されず、自分の価値に見合う対価という視点を失わないでほしいというのが私の願いです。
若い派遣社員には、年齢などにとらわれない自分の価値を見極め、努力と経験でその価値を上げていくことを伝えていかなければなりません。
派遣費用の高騰から考えるスキルと対価努力と経験に裏付けされた価値は、時間を経ても失われるものではないからです。
今のような状況の中でスキルと対価のバランスを考えることは難しいことでもありますが、企業様も就労者も、そして社会も持続的に成長していくためには失わないでほしい視点だと感じています。

 

from フミちゃん

フミちゃん プロフィール
西田GM
ゼネラルマネージャーの西田二三代です。業界30年以上の知見から、企業の人事担当者様に離職率の低減、面接の印象を良くするなどの役立つ情報をブログという形でお伝えします。
・1000社以上の企業にスタッフを紹介
・人材業界で30年以上のキャリア
・マネージャーとして事業部を統括
・面接したスタッフは延べ10,000人以上
・年齢:30歳プラス少々

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